黒糖焼酎とは何か?味は甘い?その歴史からオススメの銘柄、飲み方まで徹底解説。

黒糖焼酎は、鹿児島県の南部の奄美群島の特産品でサトウキビから造られる黒糖を原料とする本格焼酎です。酒税法によってこの地域だけに製造が認められていることから、「奄美黒糖焼酎」と呼ばれることもあります。

また、2020年時点で奄美群島内にある23場の蔵元が16社の納税企業名(共同瓶詰め専門の2社を含む)で製造、出荷を行っています。

黒糖焼酎とは?甘い?どんな味?

黒糖焼酎は、サトウキビから作られる黒糖を原料とした本格焼酎のことで、優しい風味と味は甘くなくすっきりした飲み口でに加え、近年、糖質ゼロ、プリン体ゼロというヘルシーさが注目を集めています。

作り方によって味が変わるため、ひとくくりしてこの味と言えるわけではありませんが、一般的に黒糖焼酎といえば、れんと(奄美大島開運酒造)や里の曙(町田酒造)などの味をイメージする人が多いと思います。また、樽で熟成させた、まんこい( 弥生焼酎醸造所)や紅さんご(奄美大島開運酒造)は、洋酒のラム酒に似た味をしています。

ここら辺は、また別記事にて詳しく説明していきたいと思います。

「奄美黒糖焼酎」とも呼ばれる黒糖焼酎は、鹿児島県の南部の奄美群島の特産品です。

奄美群島とは?奄美大島とは違うの?

鹿児島県の南方にある、喜界島(きかいじま)、奄美大島(あまみおおしま)、徳之島(とくのしま)、沖永良部島(おきのえらぶじま)、与論島(よろんとう)の島々を合わせて奄美群島と呼びます。

黒糖焼酎の歴史

16世紀の半ばごろには、焼酎の製造技術が伝来していたといわれています。照りつける太陽のもとで大きく育ったサトウキビを原料に、沖縄から伝わった製法に磨きをかけ、誕生したのが黒糖焼酎です。

黒糖焼酎の製造が、奄美群島だけに認められている理由は、奄美群島の受難の歴史にありました。

第二次世界大戦後、アメリカ政府の統治下に置かれた奄美群島では、米などの主要な食糧が不足したことから、主要な作物であるサトウキビを使った黒糖焼酎造りが盛んに行われました。

ところが、昭和28年(1953年)に日本へ返還されると、今度は酒税法という壁にぶつかります。当時の日本の酒税法では、糖類を焼酎の原料として認めていなかったことに加え、奄美群島では麹を使わない製法を採用していた ことから、焼酎よりも税率が高い「スピリッツ」に分類されることになってしまったのです。

これでは経済的負担が大きすぎると訴えた結果、特例として「米麹を併用して仕込む」「奄美群島区の管轄区域内で製造する」「認められる糖類は、純黒糖のみ」を条件に、黒糖焼酎は焼酎として認められました。

現在、黒糖焼酎の伝統を受け継ぐのは、奄美群島にある約23 の蔵元。島ごとに異なる進化を遂げた個性豊かな黒糖焼酎は、自然豊かな島々が育む特産品として、全国のファンに愛されています。

ダイエット中の人が選ぶお酒としては理想的なお酒

黒糖焼酎の魅力は、まずは何といっても

糖質ゼロ、プリン体ゼロ

です(笑)。お酒が好きな人にとってはたまりません!!!そして、焼酎の中でも飲みやすく、黒糖焼酎の原料の黒糖(黒砂糖)が使われているため、 優しい風味と味は甘くなくすっきりとしたのが特徴です。

味が甘いという人も言いますが、甘いというと一般的には、チューハイとかそっち系の甘さを思い浮かべると思っています。甘くはなく優しく、すっきりとした味です。

また、アルカリ性の奄美の水で造った黒糖焼酎は弱アルカリ性といわれています。

ミネラル豊富な黒糖自体もアルカリ性食品なので、黒糖や黒糖焼酎を口にする機会の多い沖縄や奄美群島が長寿の地として知られているのも、黒糖の効果かもしれません。

特筆すべきは、その糖分量。黒砂糖から生まれたお酒というと、糖が多く含まれていると思われがちですが、黒糖焼酎は蒸溜酒なので糖質はもちろんゼロ、プリン体もゼロ。アルコールを含んでいるのでカロリーはゼロではありませんが、ダイエット中の人が選ぶお酒としては理想的といえそうです。

黒糖焼酎とラム酒は同じ?

同じ黒糖を原料とするお酒で有名なのが、カリブ海諸国で造られるスピリッツ「ラム」です。原料が同じなことから、黒糖焼酎が「和製ラム」と呼ばれることもありますが、じつはお酒の製造法で見れば、まったくの別物。ラムは糖分を自然発酵 させたものですが、黒糖焼酎は米麹を加えて発酵させることで、独特の風味を出しています。

どんな黒糖焼酎が初心者向け?

結論的には、黒糖焼酎初心者、焼酎初心者には、白麹を使用した黒糖焼酎がオススメです。

黒糖焼酎は、焼酎の中でも比較的飲みやすいお酒です。ですが、銘柄によって味や風味が全く違います。ここでは、銘柄を選ぶポイントを紹介します。

ポイント①種麹の種類

黒糖焼酎造りに欠かせない米麹は焼酎の味を決める重要な要素ですが、風味や香りの傾向を大きく左右するのが、米麹造りに欠かせない種麹の種類です。

蒸した米にまぶす種麹には、「白麹」と「黒麹」、「黄麹」の3種類があり、どれを使用するかで風味や香りが大きく変わってきます。


「白麹」を使った黒糖焼酎は、すっきりとした味わいが特徴です。まろやかな口当たりの、飲みやすい焼酎に仕上がる傾向にあります。 白麹を使った焼酎の中で有名なものは、れんと(奄美大島開運酒造)、朝日(朝日酒造)などです。焼酎初心者向けの黒糖焼酎です。

れんと(奄美大島開運酒造)

「黒麹」仕込みの焼酎は、コクや旨味が強く感じられる、芳醇な香りの焼酎が好きな人にはおすすめです。焼酎を飲みなれている方やどっしりとした味が好きな方がよく好んでおります。 黒麹を使った焼酎の中で有名なものは、 里の曙 黒麹仕込み(町田酒造)、島有泉 黒麹仕込み(有村酒造株式会社)です。

朝日(朝日酒造)

里の曙 黒麹仕込み(町田酒造)

島有泉 黒麹仕込み(有村酒造株式会社)



「黄麹」を使用した黒糖焼酎は珍しく、 味わいは黄麹らしいやわらかい味わいで、印象は黒糖焼酎?と思うほどです。すっきりした飲み口と華やかな香りを好む人は、黄麹仕込みを選ぶのもよいです。 黄麹を使った焼酎の中で有名なものは、 碧い海(弥生焼酎醸造所)です。

碧い海(弥生焼酎醸造所)

ポイント②蒸溜方法

黒糖焼酎は、単式蒸溜の「常圧蒸溜」と「減圧蒸溜」の二種類に大別されます。

昔ながらの「常圧蒸溜」では、比較的高い温度でもろみを熱するため、原料由来の成分が蒸溜液に移りやすく、風味や香りなどの個性が際立つ傾向にあります。

一方、蒸溜釜内の気圧を下げて行う「減圧蒸溜」では、約40~50度と低めの温度でもろみを沸騰させられるため、原料由来の成分のうち、沸点の高いものは抽出されにくくなります。そのぶん、雑味の原因となる成分も取り除かれるので、クセの少ないクリアな味わいに仕上がるといわれています。

黒糖焼酎の美味しい飲み方

オンザロック

黒糖由来の風味や香りを満喫したいけれど、焼酎独特のアルコール臭が苦手という人には、オンザロックがおすすめ。氷で冷やすことで、鼻につく臭いもほどよく軽減され、また氷が溶けるごとにまろやかさが際立ってきます。

水割り

黒糖焼酎のすっきりとした飲みやすさは、水割りとも相性抜群。ツンと鼻につくアルコール臭が苦手な人は、前割り焼酎にして飲むとよいでしょう。

お湯割り

黒糖焼酎のやさしい香りとまろやかさ、米麹のコクをたのしむなら、お湯割りがおすすめ。人肌より少し熱いくらいの温度にととのえると、ふくよかな香りを堪能できます。

個人的には、白麹、黄麹系の飲みやすい黒糖焼酎は水割りかオンザロック、黒麹はお湯割りにしてしっとり飲むのがオススメです。

炭酸割り(黒糖焼酎初心者、焼酎初心者にオススメ)

黒糖焼酎を気軽に飲みたい!!という人には、炭酸割りがおすすめです。フルーティーな黒糖焼酎やスッキリとした味わいの黒糖焼酎を炭酸で割るとずっと飲めます。飲みやすいので飲みすぎ注意です。

ストレート

黒糖焼酎に限ったことではありませんが、お酒の個性を味わうにはストレートがおすすめです。水や炭酸、お湯で割ったり氷を入れて飲むとお酒の味が分かりづらくなるため、お酒に強い人はストレートで飲んでみるのもいいです。

黒糖焼酎おすすめ銘柄

奄美(あまみ)徳之島の5つの蔵元が結集

奄美酒類は、徳之島の6つの黒糖焼酎の蔵元によって設立された奄美群島初の共同瓶詰め会社です。島内各地で育んだ黒糖焼酎の原酒を持ち寄り、ブレンドすることで質の向上を図るとともに、「徳之島の焼酎を広く本土へ」という願いを込めて造られた銘柄が「奄美」です。

個性の異なる原酒の融合による深みのある味わいに加え、米麹の1.8倍もの黒糖を使用し、常圧蒸溜するという独自の製法によって、黒糖の甘い香りを最大限に引き出しています。

高倉(たかくら)奄美大島産の黒糖を100%使用

「高倉」の蔵元、奄美大島酒造の焼酎造りのポリシーは、一切の妥協をしないこと。もともと原料はすべて国産の黒糖でしたが、近年ではさらに徹底し、地元・奄美大島産の黒糖のみに限定しています。

さらに、仕込み水には、奄美大島一の水質とされる「じょうごの川」付近で、地下120メートルから汲み上げた天然の地下水を使用。これらを原料にした原酒を3年以上熟成させたうえで、さらに樫樽で熟成させた黒糖焼酎が「高倉」です。熟成を重ねたからこそ生まれる、まろやかなで甘いコクが際だっています。

れんとユニークな酒造りで注目される人気銘柄

「れんと」を生んだ奄美大島開運酒造は、スピーカーから流れるクラシック音楽が振動として貯蔵タンクに伝わり、ゆっくりと熟成を進めさせる「音響熟成」など、ユニークな酒造方法で知られています。

海のように青いボトルが印象的な「れんと」は、音楽用語で「ゆったりと」という意味。クラシック音楽の響きに揺られながら、ゆっくりと熟成された味わいが、「飲みやすい」と評判のベストセラーです。

黒糖焼酎は、アルコール初心者から焼酎通まで幅広い層に親しまれるお酒。奄美の特産品ですが、全国に流通しているので、機会があったらぜひ味わってみてくださいね。

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